『写真批評』復刊、評論の場を再構築

東京綜合写真専門学校の創設者であり写真評論家として活躍した重森弘淹(1926~1992)によって1973年4月に創刊され7号(1974年)まで続いた批評誌『写真批評』(東京綜合写真専門学校出版局)を、批評の場の再構築を目指してこの秋に復刊する。

『写真批評』編集長、調文明からのメッセージ

半世紀のときを越えて、『写真批評』が復刊します。

1973年から2022年までの50年間に写真をめぐる日本の状況は大きな変貌を遂げました。前半の25年間は構築の時代として写真を価値づける場が相次いで整備されていきます。写真専門のコマーシャル・ギャラリーや自主ギャラリーの設立、新聞社やカメラメーカーが主催する写真賞の創設、写真を売りにした多種多様な雑誌の創刊、そして東京都写真美術館の開館など……。

一方、後半の25年間は瓦解の時代として整備された場がゆっくりと瓦解し始めていきます。業績不振によるカメラメーカー系ギャラリーの縮小および撤退、若手の登竜門的存在であった写真賞の終了、写真関連雑誌の相次ぐ休刊・廃刊、写真を扱う公立美術館の予算縮小など……。写真を価値づける場が瓦解することによって、写真批評にもまた大きな危機が訪れています。

1973年創刊の『写真批評』が前提としていた「写真」および「批評」は2022年の現在、その存在意義すらもすでに盤石のものではなくなりつつあるのが現状です。ですが、そのような危機的状況だからこそ、「写真」と「批評」の射程を細やかに検証し、改めて再起動することが必要になってきています。この復刊が瓦解の時代に新たな場を創出する、その一歩となれれば幸いです。

調文明(しらべ ぶんめい 写真史研究/写真批評)

復刊第一号コンテンツ

復刊第一号では、彫刻家で評論家の小田原のどか氏をゲストに招いた座談会、『写真批評』編集部メンバーと東京綜合写真専門学校教員による座談会、山本和弘氏と倉石信乃氏、きりとりめでるによる論文、村上由鶴氏、中本憲利氏、調文明、深川雅文、戸田昌子氏の論考、伊奈英次氏のリレーコラムを収録予定。

コンテンツ詳細

『写真批評』とは

『写真批評』
1973年学校創立者・重森弘滝によって創刊された『写真批評』は、学校教育とともに重森氏が考える「批評精神」の実践の両輪として、「批評精神」を学内のみならず、広く世間に伝えるものでした。
新鋭、気鋭の写真家・批評家・映画監督・ジャーナリストを数多くフューチャーし、新しい「写真批評」の地平を切り開き、写真界に多大な影響を与えました。

刊行概要

書名: 『写真批評』
刊行予定: 2022年10月下旬 (年一回発行)
判型:
ページ数: 未定
定価: 未定
発行: 東京綜合写真専門学校出版局
発行人: 伊奈英次(東京綜合写真専門学校校長)

販売ルート: 未定

重森弘淹(しげもり こうえん)について

東京綜合写真専門学校の創立者・重森弘淹(1926~92)は、同志社大学文学部卒業後、1949年「いけばな芸術」の編集長となり、勅使河原宏氏らとともに、流派を超えた新しいいけばなの方向を模索し始めました。 一方、岡本太郎や花田清輝氏らの結成した「夜の会」、安部公房氏らによる「記録芸術の会」などに参加し、総合的な芸術への視野に立った活動に取り組みました。

1955年頃からは、カメラ雑誌を中心に写真の評論活動を開始し、当時隆盛をきわめていた「リアリズム写真運動」を批判的に継承しつつ、東松照明や 奈良原一高氏らによる新しい写真表現の登場を支持し、さらに現代写真の始まりを告げるウイリアム・クライン、ロバート・フランク氏らの仕事をいち早く紹介、論評するなど、日本の現代写真の動向に大きな影響を与えました。

1958年「東京フォトスクール」を創立。1960年「東京綜合写真専門学校」と名称を変えて発展させ、自らの写真美学や批評精神を展開しつつ、写真家の育成に情熱を注ぎました。また、1973年には批評の活性化を目指して『写真批評』(季刊)を発行しました。

批評家であると同時に教育者である重森弘淹の基本的な思想は、『表現とは作者の批評行為であり、それなくして表現は存在しない』というものでした。

お問合せ

本件に関するお問い合わせは、下記まで。

東京綜合写真専門学校 https://tcp.ac.jp/
担当:柴田麻希
〒223-0051 神奈川県横浜市港北区箕輪町2-2-32
TEL:045-563-3077
FAX:045-563-2050

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